ああその猫が例のですか、なかなか肥ってるじゃありませんか、それなら車屋の黒にだって負けそうもありませんね、立派なものだと寒月君は大に吾輩を賞める。 Z. Marcus は実にうまい。 之を天祐という幸に天祐を享けたる吾輩が一生懸命餅の魔と戦っていると、何だか足音がして奥より人が来るような気合である。 モゴモゴしばらくは苦しそうである。 あんな主人を持っている猫だから、どうせ野良猫さ、今度来たら少し叩いておやり叩いてやりますとも、三毛の病気になったのも全くあいつの御蔭に相違ございませんもの、きっと讐をとってやります 黒は怒鳴るなら、怒鳴りたいだけ怒鳴っていろと云わぬばかりに横着な顔をして、四角な顋を前へ出しながら、あれを聞いたかと合図をする。 いよいよ牡蠣の根性をあらわしている。 三毛のような可愛らしい猫は鐘と太鼓で探してあるいたって、二人とはおりませんからね 露西亜と戦争が始まって若い人達は大変な辛苦をして御国のために働らいているのに節季師走でもお正月のように気楽に遊んでいると書いてある。 　何だか妙だなと首を捻る。 見るとどうしたんだいと主人は少し焦れる。 四五日前のことであったが、二人の小供が馬鹿に早くから眼を覚まして、まだ主人夫婦の寝ている間に対い合うて食卓に着いた。 同類相求むとは昔しからある語だそうだがその通り、餅屋は餅屋、猫は猫で、猫の事ならやはり猫でなくては分らぬ。 少し間が抜けたようだが別に名答も出て来なかったから仕方がない。