始めはちょいと風邪を引いたんでございましょうがねえ甘木さんが薬でも下さると、よかったかも知れないよ一体あの甘木さんが悪うございますよ、あんまり三毛を馬鹿にし過ぎまさあねそう人様の事を悪く云うものではない。 これは彼の交友某画家からの年始状であるが、上部を赤、下部を深緑りで塗って、その真中に一の動物が蹲踞っているところをパステルで書いてある。 煩悶の極尻尾をぐるぐる振って見たが何等の功能もない、耳を立てたり寝かしたりしたが駄目である。 一寸参堂仕り度候えども、大兄の消極主義に反して、出来得る限り積極的方針を以て、此千古未曾有の新年を迎うる計画故、毎日毎日目の廻る程の多忙、御推察願上候…… 要するに振り損の、立て損の、寝かし損であると気が付いたからやめにした。 吾輩はまた欠けはせぬかと心配したが今度は大丈夫であった。 それから一週間ばかり香の物に箸を触れなかったが別段の験も見えなかったから近頃はまた食い出した。 早く食い切って逃げないと御三が来る。 君歯をどうかしたかねと主人は問題を転じた。 ひっそりして人の気合もしないから、泥足のまま椽側へ上って座蒲団の真中へ寝転ろんで見るといい心持ちだ。 この水の下だなと思いながら私はとうとう欄干の上に乗りましたよ。 白はなるべくその時代の人を写し出すのが主で、御嬢さんでも丁稚でも、その人物が出てきたようにやるんですじゃ、まあ芝居見たようなものじゃありませんかええ衣装と書割がないくらいなものですな失礼ながらうまく行きますかまあ第一回としては成功した方だと思いますそれでこの前やったとおっしゃる心中物というとその、船頭が御客を乗せて芳原へ行く所なんで大変な幕をやりましたなと教師だけにちょっと首を傾ける。 降って十六七世紀の頃迄は全欧を通じて孔雀は宴席に欠くべからざる好味と相成居候。 人も犬も月も何にも見えません。