それで僕はあの令嬢に対しては切実に感謝の意を表しなければならんからこの機を利用して、わが集を捧げる事にしたのさ。 大方例の鼠だろう、鼠なら捕らん事に極めているから勝手にあばれるが宜しい。 君はなかなか文才があるね。 そんな顔をしないで、早く傑作でも朗読するさ。 寒月はなああるほどと云って東風君に返す。 なかなか癒りません。 美術学校のモデルを雇ってくるんですそりゃ警視庁がやかましく云いそうだなと主人はまた心配している。 この奇問には細君も何と答えてよいか分らんので そんなにこせこせしてくれと誰も頼んだ訳でもなかろう。 おやまた御客様だと細君は茶の間へ引き下がる。 え？　厭ですか、ちょっとでいいからと鋏を細君に渡す。 水を浴びる音ばかりではない、折々大きな声で相の手を入れている。 先生に聞いたら、すぐわかりましょう 御母あさま夕べの泥棒の頭も光かっててとこれは妹の質問である。