吾輩もいささか賛成の意を表するためににゃーにゃーと二声ばかり鳴いて見せる。 そこでちょっと君を煩わしたいと思ってな…… ――しかし不思議と云えば不思議ですねえ、金田の奥さん、どうしてこの秘密を御探知になったんです、実に驚ろきますなと迷亭は一人で喋舌る。 実に美学上の原理に叶って、ゴシック趣味な石塔だったと迷亭はまた好い加減な美学を振り廻す。 そうそう寒月寒月。 物理学の演説なんか僕にゃ分らんと主人は少々迷亭の専断を憤ったもののごとくに云う。 ソフォクリスが傑作を出して天下を驚かしたのは、ほとんど百歳の高齢だった。 それは怪しからん訳で――一体少し学問をしているととかく慢心が萌すもので、その上貧乏をすると負け惜しみが出ますから――いえ世の中には随分無法な奴がおりますよ。 こう云う事件に関しては主人はむしろ無頓着でかつあまりに銭がなさ過ぎる。 幸い天気も好い、霜解は少々閉口するが道のためには一命もすてる。 それが最初は日本語で東風に何か質問したそうだ。 ――苦沙弥先生はこれでも自分を君子と思っている。 近頃でもその地球の――何かを勉強しているんでございましょうか二三日前は首縊りの力学と云う研究の結果を理学協会で演説しましたと主人は何の気も付かずに云う。 写真もまだ撮って送らぬ容子だ。