何か大著述でもして家名を揚げなくてはならん。 すると君不思議な事にはその時から急に悪寒がし出してね 万一の事を考えると今の内に有為転変の理、生者必滅の道を説き聞かして、もしもの変が起った時取り乱さないくらいの覚悟をさせるのも、夫の妻に対する義務ではあるまいかと考え出した。 万一の事を考えると今の内に有為転変の理、生者必滅の道を説き聞かして、もしもの変が起った時取り乱さないくらいの覚悟をさせるのも、夫の妻に対する義務ではあるまいかと考え出した。 だから天璋院様の御祐筆の妹の御嫁に行った先きの御っかさんの甥の娘なんだって、先っきっから言ってるんじゃありませんかそれはすっかり分っているんですがねそれが分りさえすればいいんでしょうええと仕方がないから降参をした。 　迷亭はとぼけた顔をして君のような親切な夫を持った妻君は実に仕合せだなと独り言のようにいう。 あんな声を出して何の呪いになるか知らん。 主人に劣らぬほどの無性猫となった。 仕方がない、自分で下がろうか知らん。 細君は早く御飲みになったら宜いでしょうと逼る。 早く食わぬか食わぬかと催促されるような心持がする。 此際吾人西洋の事情に通ずる者が古史伝説を考究し、既に廃絶せる秘法を発見し、之を明治の社会に応用致し候わば所謂禍を未萌に防ぐの功徳にも相成り平素逸楽を擅に致し候御恩返も相立ち可申と存候…… 門松注目飾りはすでに取り払われて正月も早や十日となったが、うららかな春日は一流れの雲も見えぬ深き空より四海天下を一度に照らして、十坪に足らぬ庭の面も元日の曙光を受けた時より鮮かな活気を呈している。 これもちょうど明ければ昨年の暮の事でしかも先生と同日同刻くらいに起った出来事ですからなおさら不思議に思われます