一番茶代をやって驚かしてやろう。 相変らず空の底が突き抜けたような天気だ。 兄とは喧嘩をする。 嘘をつきゃあがった。 幸ナイフが小さいのと、親指の骨が堅かったので、今だに親指は手に付いている。 どこかへ奉公でもする気かねと云ったらあなたがおうちを持って、奥さまをお貰いになるまでは、仕方がないから、甥の厄介になりましょうとようやく決心した返事をした。 清が越後の笹飴を笹ぐるみ、むしゃむしゃ食っている。 元来女のような性分で、ずるいから、仲がよくなかった。 途中から小倉の制服を着た生徒にたくさん逢ったが、みんなこの門をはいって行く。 名刺を出したら校長室へ通した。 一番茶代をやって驚かしてやろう。 こんな、狭くて暗い部屋へ押し込めるのも茶代をやらないせいだろう。 だから婆さんである。 兄は何とか会社の九州の支店に口があって行かなければならん。