麻布の聯隊より立派でない。 二 勘太郎は無論弱虫である。 しかし際限がないからやめる。 全く愛に溺れていたに違いない。 外のものでは承知しないが僕が話せばすぐ出来る。 大工の兼公と肴屋の角をつれて、茂作の人参畠をあらした事がある。 どうせ嫌いなものなら何をやっても同じ事だと思ったが、幸い物理学校の前を通り掛ったら生徒募集の広告が出ていたから、何も縁だと思って規則書をもらってすぐ入学の手続きをしてしまった。 まあ精出して勉強してくれと云って、恭しく大きな印の捺った、辞令を渡した。 おれの来たのを見て起き直るが早いか、坊っちゃんいつ家をお持ちなさいますと聞いた。 この方は大分金になったようだが、詳しい事は一向知らぬ。 随分気楽な宿直がいるものだ。 母が大層怒って、お前のようなものの顔は見たくないと云うから、親類へ泊りに行っていた。 そんな大病なら、もう少し大人しくすればよかったと思って帰って来た。