BI44 [ディーゼル] DIESEL TOKKHUMA TOTORO - shoes

もっとも河豚のふくれるのは万遍なく真丸にふくれるのだが、お三とくると、元来の骨格が多角性であって、その骨格通りにふくれ上がるのだから、まるで水気になやんでいる六角時計のようなものだ。 見ると迷亭君は一枚の名刺を握ったまましゃがんで挨拶をしている。 権貴栄達の士は人を人と思わざるに於て得たるが如し。 ……ホホホホいやなすん子さんだ。 もっとも河豚のふくれるのは万遍なく真丸にふくれるのだが、お三とくると、元来の骨格が多角性であって、その骨格通りにふくれ上がるのだから、まるで水気になやんでいる六角時計のようなものだ。 実はせんだって臥竜窟を訪問して主人を説服に及んで悠然と立ち帰った哲学者と云うのが取も直さずこの八木独仙君であって、今主人が鹿爪らしく述べ立てている議論は全くこの八木独仙君の受売なのであるから、知らんと思った迷亭がこの先生の名を間不容髪の際に持ち出したのは暗に主人の一夜作りの仮鼻を挫いた訳になる。 したがって頻繁に御はちの方へ手が出る。 武右衛門君は悄然として薩摩下駄を引きずって門を出た。 なるほどとやはりかしこまっている。 昔し或る学者が何とかいう智識を訪うたら、和尚両肌を抜いで甎を磨しておられた。 あなた方が馬鹿竹になれば夫婦の間、嫁姑の間に起る忌わしき葛藤の三分一はたしかに減ぜられるに相違ない。 しかも金田の娘の顔も見た事がないって云うんだぜ。 浜田と云うのは浜田平助かい ただ覚えているのは多々良三平の山の芋だけである。