DM24 [ブッテロ] BUTTERO MONNTERRAY

しかるにまた身を逆にして義経流に松の木越をやって見給え。 これが精一杯のところですよ しかしこの通りちゃんと学校の徽章のついている帽子を被っています せんだって友人を連れて一面識もない華族の門前を通行した時、ちょっと寄って茶でも飲んで行こうと云って引っ張り込んだそうだが随分呑気だね 教育の結果ほど恐しいものはない。 これから落雲館の生徒がいかに主人にからかったか、これに対して主人がいかに野暮を極めたかを逐一かいてご覧に入れる。 行き当りを見ると一間ほどの入口が明け放しになって、中を覗くとがんがらがんのがあんと物静かである。 風邪を引いたと見えて、このあついのにちゃんちゃんを着て、小判形の桶からざあと旦那の肩へ湯をあびせる。 何でも昔しの坊主は人に斬り付けられた時電光影裏に春風を斬るとか、何とか洒落れた事を云ったと云う話だぜ。 三羽目は嘴を垣根の竹で拭いている。 こんな事のないように始終訓戒を加えておきますが……どうも困ったもので……なぜ君等は垣などを乗り越すのか 口嘴が乙に尖がって何だか天狗の啓し子のようだ。 金田君は探偵さえ付けて主人の動静を窺がうくらいの程度の良心を有している男だから、吾輩が偶然君の談話を拝聴したって怒らるる気遣はあるまい。 平然と座に就くを待ち受けた主人は直ちに談判にとりかかる。