実は二三日前行った時にもよく事情を話して来ましたとしたり顔に述べ立てる。 好男子ですか どうも鼠らしくない。 長どんと併んで……君は呉服屋の話をするのか、人売りの話をするのかそうそう人売りの話しをやっていたんだっけ。 おやいらしゃいましと云ったが少々狼狽の気味でちっとも存じませんでしたと鼻の頭へ汗をかいたまま御辞儀をする。 先生学校を卒業して何年になんなさるか つるつると咽喉を滑り込むところがねうちだよと思い切って箸を高く上げると蕎麦はようやくの事で地を離れた。 いやーだと姉が云うと妹もすぐ真似をしていやーだとつける。 大和魂はそれ天狗の類か 奥さん犬の大か奴を是非一丁飼いなさい。 と、幸い主人が寝る時に解きすてた縮緬の兵古帯がある。 寒月君博士論文はもう脱稿するのかねと主人が聞くと迷亭もその後から金田令嬢がお待ちかねだから早々呈出したまえと云う。 ――先生この猫を私にくんなさらんか。 多々良君は充分実業家の利益を吹聴してもう云う事が無くなったものだから