天地万有は神が作ったそうな、して見れば人間も神の御製作であろう。 次の段に乗せてあった摺鉢と、摺鉢の中の小桶とジャムの空缶が同じく一塊となって、下にある火消壺を誘って、半分は水甕の中、半分は板の間の上へ転がり出す。 君だって恋煩いなんかした事はなさそうじゃないかと主人も正面から細君に助太刀をする。 主人はもっともらしい顔をして拝見と云って見ると第一頁に 天地万有は神が作ったそうな、して見れば人間も神の御製作であろう。 月が西に傾いたので、白い光りの一帯は半切ほどに細くなった。 少しも儲けもせん癖に 主人と多々良君が上野公園でどんな真似をして、芋坂で団子を幾皿食ったかその辺の逸事は探偵の必要もなし、また尾行する勇気もないからずっと略してその間休養せんければならん。 どうせこれだけ集まれば只事ではすまない。 這入って見ると八畳の真中に大きな囲炉裏が切ってあって、その周りに娘と娘の爺さんと婆さんと僕と四人坐ったんですがね。 教えて下すってもいいじゃありませんか、あなたはよっぽど私を馬鹿にしていらっしゃるのね。 元来口は音を出すため鼻は空気を吐呑するための道具である。 これではならぬと左の前足を抜き易える拍子に、爪を見事に懸け損じたので吾輩は右の爪一本で棚からぶら下った。 それより手数を掛けちゃ旨く食えませんよとハンケチで口を拭いてちょっと一息入れている。