文学士だけにご苦労千万な服装をしたもんだ。 この英語の教師もうらなりばかり食ってるに違いない。 この甥は裁判所の書記でまず今日には差支えなく暮していたから、今までも清に来るなら来いと二三度勧めたのだが、清はたとい下女奉公はしても年来住み馴れた家の方がいいと云って応じなかった。 そのほか一人一人についてこんな事を書けばいくらでもある。 単にこればかりではない。 来る途中小間物屋で買って来た歯磨と楊子と手拭をズックの革鞄に入れてくれた。 その年の四月におれはある私立の中学校を卒業する。 この部屋かいと大きな声がするので目が覚めたら、山嵐がはいって来た。 古川の持っている田圃の井戸を埋めて尻を持ち込まれた事もある。 どうか置いて下さいと何遍も繰り返して頼んだ。 二 別に望みもない。 しかもそれが赤シャツだから人を馬鹿にしている。 うとうとしたら清の夢を見た。